選択の科学 コロンビア大学ビジネススクール特別講義 (文春文庫)
はじめに:正しい「しつけ」とは何か?
人間は自由でありたい
どうも皆さんご機嫌用!SHIZUYAです!!
私たちは日々様々な決断や選択をしています。『自分の人生の選択は自分自身の意思で行う』というのが私たちにとってとも重要で、その選択する内容は基本的には自由です。
なので、『他人から何らかの行動を強制される』、『自己コントロール感を損なわれる』ような状況は私たちの心に大きなストレスを与え、反発感情を引き起こしてしまいます。
今回は、『自由を求める』という人間の本質をもとに、人を教育する際に適切な『抑制』とは何かを説明しながら『良い「しつけ」とは何か?』についてのお話をしていきたいとおもます。
心理的反発(心理的リアクタンス)
ダメと言われるとしたくなる!!
心理的反発とは?
皆さんは『ダメと言われるとしたくなる』というような経験をしたことはありますか?
この現象は私自身も経験しており『このおもちゃで遊んじゃダメ!』、『立ち入り禁止‼︎』などの私たちの行動を制限される指示をされると絶対にそれに反抗していました。
これは、外部からの行動の強制(自由の制限)に対して『自分の行動や意思決定をコントロールしたい!』という心理が働き支持されたい内容に対して反発しようとする心理が働いかことによります。
自分位は選択をする自由があると思っている人間がその権利を外部から脅かされた際に生じる反発作用。失われた自由をとりも同窓とする動機付け。
皆さんも『〇〇だけは絶対にするな』、『〇〇をやる権利はお前にはない』と言われたら誰でも反感を覚えますよね。
このような外部から選択の自由が脅かされるときに生じる反感こそが心理的反発ということができます。
それでは、心理的反発の例を見ていきましょう。
- 『このおもちゃで遊ぶな』と言われると遊びたくなる。
- 法律で使用が禁止されると使用量が増える。
- 勉強を強制されると勉強したくなくなる。
などなどです。どれも外部からの強制に反発する形で心理的反発が生じていますね。
『強制』と『要望』
もしあなたが誰かを教育する立場にある人間なのでしたら、あなたには他人を指導する側の人間として『他人の行動を制限』しなくてはならない場合において、『強制』と『要望』の二つを用いることができます。
強制は『絶対に〇〇してはいけない』、『〇〇したら罰則』というような強制的なもので
要望は『〇〇する事は極力避けてください』、『〇〇のような行動をした場合私は悲しい』のようなお願いするようなものです。
では、教育の場面において『特定の行動を減らしたい場合に「強制」と「要望」のどちらが有効なのか』についてを心理学の実験例を紹介しながら考察していきたいと思います。
心理的反発の実験例
マーク・レッパー、マーク・ザンナそして、ロバート・エーベルソンらの研究
シーナ(2014).による 選択の科学 コロンビア大学ビジネススクール特別講義より、マーク・レッパー、マーク・ザンナそして、ロバート・エーベルソンらの研究を紹介させていただきます。
実験参加者:カリフォルニア州のにある幼稚園の学級の子供たちを対象に実験を行った。抑制の強さによる心理的反発の実験を行った。
実験内容:子供たちに6種類のおもちゃを見せ好きな順に並ばせた。その結果一番の人気は『ロビー』と呼ばれるおもちゃだった。この際に子供たちを2つのグループに分けた。
- 強い牽制:『遊んだ場合カンカンに怒る』と、ロビーで遊ばないようキツく釘を刺したグループ
- 弱い牽制:『遊んでしまったらこちらが困る』と弱く牽制したグループ。
実験者は部屋を離れ、子どもたちの行動を感圧したのち、1週間後に子どもたちにロビーに対する評価を行ってもらった。
実験結果:
- 強い牽制を受けたグループの子どもたちは、ロビーを見つめてはいたが近づこうとしなかった。しかし、1週間後再びロビーに対する評価をしてもらったところ前にもましてロビーと遊びたがった。
- 弱い牽制を受けたグループはロビーのずっと近くまで行ってじろじろ眺め、手に取ろうとして、最後の最後に手を引っ込めた。しかし、1週間後の評価ではロビーに関して強い関心を示さなかった。
参考文献
シーナ アイエンガー. 櫻井祐子(訳) (2014). 選択の科学 コロンビア大学ビジネススクール特別講義 pp.357-358 文春文庫
Zanna, M. P., Lepper, M. R., and Abelson, R. P.”Attentional mechanisms in children’s evaluations of a forbidden activity in a forced-compliance situation.”Journal of personality and Social Psychology 28 (3) (1973): 355-359.
以上のことをまとめると、
- 強い牽制(強制)をされた子供は長期的に見て心理的反発が大きくなる。
- 弱い牽制(要望)をされた子供は長期的に見て心理的反発が小さくなる。
ということが言えます。
強い牽制(強制)を行うこと、心理的リアクタンスが生じ行動を抑制するどころか誘発してしました。
そして逆に弱い牽制(要望)では子供は対象への関心が小さくなり結果として行動の抑制につながりました。
結論:『強制』によるしつけはなるべく避ける
心理的はリアクタンスを引き起こさないように
『外部から強制』ではなく『内部からの自主的な自粛』が好ましい
上記の実験から言えることは人間は外部からの圧力が強ければ強いほど心理的反発が生じるということです。
よって、親や上司などの教育する立場にあるものは『教育対象者の自由を尊重し自主的な行動を促すようにし、自由を奪うような強制的な仕付け、制限は極力避けるべき。』と言うことができますね。
しかし、犯罪など法的にやってはいけないことをしつけなければならない場合はやむおえない場合もあるかもしれません。そんな時は、以下のように言葉の表現方法を変えましょう。
『〇〇しては絶対にいけない』→『〇〇は控えてほしい』or『〇〇すると悲しい』
以上の言い換えることによって先ほど紹介した実験内容の通り、ちょっとした言い回しの変更等で心理的反発をコントロールできると考えられます。
つまり『外部から強制』ではなく『内部からの自主的な自粛』が好ましいと言うことが言えます。『親に禁止された!!むかつく!!』という感情よりも、
『私の行動によって両親が悲しんでいからこれからは慎もう。』という感情の方が行動を抑制することができそうですよね?
『相手の行動を操作しようとするのではなく、自発的にそう考えるように仕向けましょう』
今回のまとめ
今回は、教育における『正しい教育法』として強い牽制と弱い牽制のどちらが行動の抑制に効果的なのかについてのお話をしました。
ここで、今回のまとめといきましょう。
- 人間は自由を求め、手放したくない生き物。
- 外部から自由を脅かされた場合、心理的反発が生じる。
- 弱い牽制よりも強い牽制のほうが心理的反発の度合いが大きかった。
- 行動の選択権を奪うのではなく、行動するに値するきっかけを作る。
私たちは、日常生活においては基本的には自由です。自由は当たり前のことであり永遠に続くべきものだと考えています。
しかし、その自由を奪われた場合に人々は反発します。これまでの歴史で起きた革命と呼ばれるものの大半はこの心理的反発によって引き起こされたという考えもあるほどです。
まぁ、今回の話に納得できない人も『強制はいけないんだなー(ほじほじ)。』みたいな感じで捉えてくれれば大丈夫ですね!!
今回の内容は以上です。最後までお付き合いいただきありがとうございました。
引用文献
シーナ アイエンガー. 櫻井祐子(訳) (2014). 選択の科学 コロンビア大学ビジネススクール特別講義 pp.357-358 文春文庫
Zanna, M. P., Lepper, M. R., and Abelson, R. P.”Attentional mechanisms in children’s evaluations of a forbidden activity in a forced-compliance situation.”Journal of personality and Social Psychology 28 (3) (1973): 355-359
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